創業したばかりの事業者にとって、「人を雇う」ことは大きな決断です。
最初から正社員を雇うのはハードルが高く、まずはパートやアルバイトとして働いてもらうケースも多いのではないでしょうか。
そんなときに知っておきたいのが――
「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」です。
Table of Contents
✨キャリアアップ助成金とは?
キャリアアップ助成金は、非正規雇用の方(有期契約・パート・アルバイトなど)を正社員に登用したときに支給される国の制度です。
「せっかく育ったスタッフを長く働いてもらいたい」
「安心して働ける環境を整えたい」
そんな前向きな経営者をサポートする目的で作られています。
✅ 対象となる事業者
次のような条件を満たしていれば、創業したばかりの小規模事業者でも申請できます。
- 有期雇用(6か月以上勤務)の従業員を正社員にした場合
- 会社が雇用保険に加入している事業所であること
- 正社員化後も継続して雇用していること(すぐ辞めていないこと)
また、申請の際には「キャリアアップ計画書」という書類を事前に提出しておく必要があります。
この計画書を出さないまま正社員化してしまうと、助成金がもらえなくなるので注意が必要です。
🧾 支給内容
- 1人あたり 57万円(中小企業)
- 一定の生産性向上が認められると 72万円 にアップ
また、正社員ではなく「有期→無期雇用」へ転換した場合にも、
1人あたり28.5万円 が支給されます。
👀 どんなときに使える?
たとえば次のようなケースで活用できます。
- 創業時にパートとして採用したスタッフが、戦力として成長した
- 店舗や業務が安定してきたので、正社員として登用したい
- 人材の定着を促し、採用コストを下げたい
このような「雇用の安定」につながる取り組みを、国が後押ししてくれる制度です。
🎯 経営者にとってのメリット
キャリアアップ助成金の最大のメリットは、“人を育てながら支援が受けられる”点です。
- 正社員化によりモチベーションが上がる
- 社員定着によって採用コストが減る
- 人材育成を「仕組み化」するきっかけになる
さらに、トライアル雇用助成金や特定求職者雇用開発助成金など、他の助成金と組み合わせることで、より大きな支援を受けられるケースもあります。
⚠️ 注意点
項目 | 内容 |
事前準備 | 「キャリアアップ計画書」を提出してから正社員化 |
保険 | 雇用保険への加入が必須 |
継続雇用 | 正社員化後も安定して勤務していること |
申請時期 | 正社員化後に申請(期限あり) |
📝 キャリアアップ助成金の申請方法と申請先
キャリアアップ助成金は、非正規雇用の方を正社員化・処遇改善・スキルアップさせる企業を支援する制度です。
申請は「ハローワーク」ではなく、事業所を管轄する都道府県労働局(または労働基準監督署)」が窓口となります。
申請の流れは以下の通りです。
1️⃣ キャリアアップ計画書の作成・提出
助成金の対象となる取組(正社員化、賃金アップ、訓練など)をまとめた「キャリアアップ計画書」を、取組開始前に提出します。
2️⃣ 取組の実施(例:正社員転換・昇給など)
計画書に沿って制度を実行します。実施後には就業規則や賃金台帳などの証拠書類が必要です。
3️⃣ 支給申請(取組完了後)
取組完了から2か月以内に、必要書類をそろえて都道府県労働局の助成金窓口へ提出します。
審査を経て、助成金が企業に支給されます。
詳しい様式や提出先は、厚生労働省の公式サイト「キャリアアップ助成金」ページで確認できます。
▶️ 厚生労働省 キャリアアップ助成金公式サイト
✏️まとめ
創業期は「人を雇うこと」が大きなチャレンジになりますが、
助成金を活用すれば、安心して“人を育てる経営”ができます。
パートから始まり、信頼できる社員に育ってくれた人を応援したい。
そんな気持ちに、国が助成金で背中を押してくれる仕組みです。
まずは一度、ハローワークに相談して「キャリアアップ計画書」を提出してみましょう。
小さな一歩が、事業の成長と人の成長につながります。