近年、中小企業や小規模企業はM&Aをさまざまな形で活用しています。
例えば、人手不足の解決策や事業承継の手段として活用したり、成長を目指す中小企業は、競争の技術や顧客基盤をM&Aで獲得し、新市場への発展や競争力の強化に繋げています。
しかし、先日放送されたガイアの夜明けによるとM&Aによる悪質な買取り業者が増えているそうです。
手口としては、現金を豊富に所有する企業をターゲットにし、買収後、すぐに現金を抜き出し計画倒産をするそうです。
実際に被害に遭われた事例も、もちろん仲介会社が入っていますが、その悪質さを見抜けず売り手企業に紹介してしまいました。売り手企業の連帯保証の解除も契約書には解除するとなっていましたが、実行されていません。
仲介会社は早く契約して手数料を取りたいと思っていますし、売り手側も早く売却したいという想いがありますので、双方の思いが一致してしまい、調査不足や説明不足のまま契約が成立してしまった背景があると思います。
小規模企業はM&A自体、何度も行うケースは少なく、知識は経験も少ない事がほとんどです。
ですので仲介会社に任せておけば安心と思っていたと思いますが、実際はこのようなトラブルが発生してしまっています。仲介会社については特別な資格は必要がないためどんな会社でも仲介することが出来てしまいます。M&Aの市場が活発になり、仲介会社も増えてきていますので、売り手側もきちんと確認することが必要になっています。
中小M&Aガイドラインの改定
経済産業省はこの問題を重く受け止め、不適切な譲り受け側の存在や経営者保証に関するトラブル、M&A専門業者が実施する過剰な営業・広告等の課題に対応し、中小M&Aガイドラインを改訂しました。
「中小M&Aガイドライン」の改訂
1.仲介者・FA(フィナンシャル・アドバイザー)の手数料・提供業務に関する事項
2.広告・営業の禁止事項の明記
3.利益相反に係る禁止事項の具体化
4.ネームクリア・テール条項に関する規律
5.最終契約後の当事者間のリスク事項について
6.譲り渡し側の経営者保証の扱いについて
7.不適切な事業者の排除について
違反した会社は登録取り消し、場合によっては社名を公表し、信用調査の徹底を義務付けるようです。
M&A仲介協会の取組み
M&A仲介協会においても、不当なM&A取引の防止に関する具体的な2つの取り組みを発表しています。
特定事業者リスト
1.悪質な譲受け事業者の情報共有の仕組み
2.「特定事業者の情報共有の仕組みに関する規約」の策定
また、2025年1月からはM&A(合併・買収)の契約書において、売り手企業の経営者の連帯保証の解除を買い手に義務付ける条文を導入し、今後は資格制度の導入を検討しているようです。
悪質な買い手企業については言語道断ですが、仲介会社の在り方も考える必要がありますね。
悪質な仲介会社を紹介しても、知らなかったとは言え、ペナルティなしというのもどうかと思います。実際の映像も見ましたが他人事のような話しぶりでした。騙された売り手企業は本当に気の毒です。
日本は少子高齢化による後継者不足における事業承継M&Aは今後も増えていくと思われ、M&A市場は今後も拡大し続けると予測されています。ガイドラインの見直しや法整備などで悪質な業者が一掃されれば良いなと思います。